薪ストーブや暖炉で必ず必要な「薪(まき)」。これがなければ始まりません。薪についてある程度理解しておくと良いと思います。

(1)木なら何でも良いのか
概ね良いですが、樹種の特性があるため薪ストーブに向いているものとそうでないものがあります。薪に向いている樹種は「火の持ちが良い」特徴があります。火の持ちが良くないと多くの薪が必要になり、ストーブにくべる回数も増えます。一般的に「火の持ちが良い」薪は火が着きにくい(燃えにくい)傾向があります。そこで燃えやすい木を着火用として始めに焚き、火持ちが良い薪を投入していくと良いでしょう。

手に入りやすい薪は広葉樹と針葉樹にほとんど分類できます。薪ストーブに向いているのは広葉樹で、中でもナラ、カシ、クヌギなどです。これらは火の持ちが良く、比較的手に入れやすい樹種です。針葉樹はスギ、ヒノキ、マツなどがあり、これらは着火しやすく燃え尽きやすいため、焚き付け用に向いています。針葉樹は薪ストーブに向いていない、ストーブや煙突を傷めるという意見があります。これは半分当たっていますが半分間違っています。

針葉樹、特にスギやヒノキは手に入れやすく、身近に有るなら薪ストーブで積極的に使うべきと考えます。マツ系樹種よりも脂(ヤニ)が少ないため、メインの燃料にしている方も多くいらっしゃいます。太い薪にすれば火の持ちがあまり良くなくても大きさである程度カバーできます。但し、スギはナラやカシに比べると明らかに劣るのは仕方ありません。

薪は乾いたものを使います。多少の湿りは仕方ないですが、余りにも湿っていると木に残っている水分が蒸発するために熱エネルギーを先に使ってしまうため、部屋が暖まらなくなります。また、樹種に関係なく乾いた薪よりも不完全燃焼の時間が長いため、目に見える煙の量が多くなります。薪が乾いていると暖房に熱エネルギーを使いますので、ストーブの温度が上がり、部屋が暖かくなります。煙の量もそれほど多くなりません。

針葉樹もしっかり乾かせば目に見える煙の量をある程度抑えることができます。

(2)どうやって手に入れるか
薪を手に入れること自体はとても簡単になりました。インターネットで薪業者から購入すれば自宅や別荘まで届きます。この方法は簡単手間いらずであることと引き換えに明確な価格や送料が発生します。他に、地元のホームセンターなどで薪を買うこともできます。また、建築業界の知り合いに相談したり、近くで建築現場があれば端材が貰えるかもしれません。造園業者や森林組合などで相談してみるのも良いでしょう。薪はエネルギーの中でいちばん入手方法が多いのかもしれません。

手に入れた薪は乾いていないものは最低数ヶ月は干しておきます。置き場所があまり無い場合は乾いた薪を手に入れると良いでしょう。

(3)代表的な薪は
ストーブ利用に向いている薪は「ナラの薪」です。幅広い地域で手に入れやすく、火持ちも良く、煙も少ない、価格もこなれている、と正に薪のスタンダードと言って良いでしょう。ナラに近い樹種としてカシ、クヌギ、アベマキなどがあります。どんぐりの生る木です。薪を販売しているお店はほとんどがナラ、またはそれに近い樹種を作っています。

手近で用意できる薪が有るならナラでなくても貴重ですから、それを主燃料として使うことも合理的で良いと思います。

(4)煙について
薪ストーブの中で薪が燃えると煙道を通じて屋外に排気されます。木は燃やすと必ず煙が出ます。木(薪)が不完全燃焼の状態(炎が良く出ているような時)に目に見える煙として煙突から排出されています。薪の燃焼が進み、炎が落ち着き、熾き火の状態では煙は目に見えなくなります(排気はしています)。これはどの種類の木を使っても同じです。

木の種類によって、燃やした際に煙が多いといわれるものとそうでないものがあります。マツの仲間(地松、アカマツなど)は煙が多いといわれる身近な樹種です。マツ系樹種は脂(ヤニ)が多いため、大量に焚くとストーブ内で高温になりすぎる可能性があります。また、気化した脂が煙道の途中で冷えてしまうと煤やタールとして煙道の内側に付き易いといわれています。あまり煤が溜まり過ぎると煙突が詰まってしまう可能性があります。マツ系樹種を主燃料として使う場合は煙道の点検頻度を高めると良いでしょう。